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かのこちゃんとマドレーヌ夫人 /"Kanoko Chan to Madeleine Fujin" By Manabu Manjomeかのこちゃんとマドレーヌ夫人 /
レビュー

万丈目ワールドに自分の子ども時代が重なる一冊「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」

子供の時に感じたことが、何度も知りたいお年頃の小学生、かのこちゃんのお話を通じて、もう一度体験できた感じがする。本当は仲よくしたい同級生がいて、その子が自分に一生懸命コミュニケーションを取ろうとしてくれて、でも恥ずかしいから訳もなく避けたりして。そんなやりとりが「茶柱」エピソードを通じて、ほんわり心が温かくなったり。でもこの「茶柱」のお話は、映像化は難しいでしょうね(笑)。

そして「難しい言葉をしっているか」ゲーム。これも大抵の人は「やったやった」と思うお話でしょう。

「シーラカンス」「びんちょうまぐろ」「プテラドノン」「ルアー」「リリアン」「エナメル線」「単2電池」・・・。

小さい頃、知らない単語を聞くと「なにそれ?」今すぐ知りたい!と理由もなく思ったな。ゲームにでてくる言葉のチョイスもまたいい(笑)。「あー、そうだったよね」と同感できることが多かった。どうやって万丈目さんはチョイスしたのかしら?

また、鹿男あをによしを思い起こさせるシーンも登場。(少々ネタバレになるが)マドレーヌ夫人が、人間のおばさんに乗り移るエピソードも。ただ乗り移った当初は自分の意識では体をコントロールできなかったのに、夫の犬のため、仲間の猫のために、人間の体でしておきたいことを、自分のやりたいことは横においといて、汗だくで行動に移す。なんとも、心がほんわかする物語。

万丈目学さんの作品は、数十ページ読み進めると、先が読みたくて、勢いでほぼ一気読みしてしまうのだが、この「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」は「ハラハラ」「ドキドキ」的な本ではないと最初から思ったので、じっくり時間をかけて読み進めてみた。すると、状況描写がとても丁寧!ということにやっと気がついた。目で文章を追いながら、自分の頭の中で、その情景を思い浮かべながら読み進めることができるので、いろいろな妄想ができて楽しめる。

また、言葉のチョイスも面白い。例えば「世界がグンと広くなる」とお父さんが、かのこちゃんに話すシーン。かのこちゃんがどういう意味かをたずねると「知恵が啓かれる(ひらかれる)」と答える。かのこちゃんは、この言葉の響きが気に入ったのか、同級生に対してこの言葉を使うが、その言葉の意味がわからない同級生は、きょとん?としている。うん、その感覚。わかる。

この本は、じっくりお茶を読みながら、ゆったりとした気持ちになりたい時や、暖かい気持ちになりたい時に読むのがオススメ。

 

内容紹介

かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて…。元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。