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人物表現がストレートで、短編集なのに数分で世界に入っていける

短編集は、登場人物が毎回かわり、状況把握するのに時間がかかるため、あまり得意ではない。けれどこの池井戸潤さんの「かばん屋の相続」では、登場人物のキャラクターから状況説明まで、端的に説明されている。たとえば「生真面目なおとなしいタイプの男」とか、人物表現がストレートでイメージしやすい。他の短編小説のような「頭を切り替えなきゃ」という意識的なものはなく、すんなり数分で理解できる。

大抵、銀行が舞台となったお話。池井戸潤作品の中では「不祥事」が一番近いのではないかと思う。全てがハッピーエンドで終わるわけではないが、ちょっとした爽快感はどの作品にも盛り込まれていて、気分転換したいときちょうどよい本ではないかと思う。

 

内容紹介

働く男たちの愛憎、葛藤を描いた文春文庫オリジナル短編集。池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに? 表題作他、五編収録。